私は誰と住んでいるの?
昔、「24人のビリーミリガン」という本が流行った。
この本によって多重人格というものを初めて知った。
人は誰も多面性を持っている。
仕事での顔とプライベートでの顔は違う。
しかし、多重人格はそういうレベルの話ではない。
一人の人間のなかに全く別の人格を持った人間がいる。
そう、全く別の。
そんな人間と暮らすとなるとどうなるのだろう?
今邑彩さん、「ルームメイト」
ルームメイトって誰?
時々思う。
自分の中にいろんな人間がいて、
私が困ったときにその人物が出てきて解決してくれないだろうか?
私の代わりにやってもらえないだろうか?
漫画や小説では「今○○という人物です。○○はこういうころが得意で...」などと上手にすり変わる。
そんなふうに代わってもらえないかなあと思う。
でも代わってもらったからといって全てがうまくいくわけではない。
しかし、犯人がわかったときは衝撃というより
「これは...」という気持ちだった。
新しい展開だった。
と言いつつも、この小説が書かれたのは約20年前。
携帯電話がほとんど普及していない時代の話だったけど、とても楽しく読めた。
バッドエンドがすき
この小説は衝撃のラストが待っている。
そのラストを今邑さんは後書きとして残している。
読むか読まないかは読者次第というわけだ。
そして「後味が非常に悪いため読まないことをおすすめする」と書いている。
更に「世の中にはバッド・エンドが好きな人もいるため、そんな少数派のために残した」とも書いている。
私はその少数派。
いや、この小説ではその後書きを読んだほうがいい。
読んで初めてあの「声」の正体がわかるのだから。
バッド・エンドこそ面白い。
そういう小説だってあるのだ。
そしてそういう小説が好きな人もいるのだ。
津島神社に行ってみたくなった
この話で津島神社が出てくるが、話にはほとんど関係ない気がする。
その場面を読み飛ばしたとしても困ることはない。
しかし古代史において津島神社は重要な神社というのは初耳だったし興味深い。
古代史となると神話が絡んでくる。
ここまでくると歴史というよりロマンを感じる。
果てしない時代の思想にふれるのは感慨深いものがある。
まさかミステリー小説で神社に興味を持つとは。
いや、古代史こそミステリーなのかもしれない。
そんな古代史に憧れる。
そういえば今邑さんは「よもつひらさか」という小説を書いている。
これは古事記がもとになっていて、これも面白かった。
今邑さんの小説をもう少し読んでみよう。