だんだん堕ちてゆく
ポッカリとあいた暗い落とし穴に落ちてしまった。
そんな言葉が合うような小説。
ここに出てくる女性はそれぞれ事情を重ねながら
ちょっとした歯車の違いから堕ちてしまった人ばかり。
落ちる
よりも
堕ちてしまった
という形容がふさわしい。
この小説に出てくる女性は嘘で塗り固めた人生だったり、
真面目に生きてきたのにそれが裏目に出てしまったような人生。
唯川恵さんの小説の女性はドロリとしてねっとりした狂気を持つ。
一方、岩井志麻子さんの小説の女性は嘘と欺瞞であふれていて、
真面目な人生から転落して破滅の人生を歩む。
また興味深く読んだところがある。
未解決の犯罪などの糸口は意外な人物が握っている。
事件とは全く関係ない、本当に通りすがりに近いような人が
目撃しているのだ。
そして世間話で友人たちと話している。
「あのね、いつも行くお店の子なんだけどね」なんて感じで。
その世間話で終わらせてしまっている。
こういった証言を集めることができたら
迷宮入りの事件等は解決できるのだろうなあ。
まあ、これは小説のなかの話だからそのように感じさせているのかもしれない。
それでも、興味深く読ませてもらいました。