だから投資しても儲からなかったのか!
「投資に勝つ」系のタイトルの本ならよく見かける。
そういったタイトルの方が受けるし
たいていの人はそういう情報を欲しがるもの。
今回この本を読んでみようと思ったのは逆のタイトルだったから。
私は日頃から成功談もいいけど、失敗談も聞いてみたいと思っている。
成功談より失敗談を聞いて、それを繰り返さないことの方がよほど成功なのではないかと思ってるくらいだ。
この本は業界の裏話を聞くことができてとても有意義だった。
著者はあのリーマン・ブラザーズに勤務して、あの事件の前に退社してるという経歴の持ち主。
それだけも十分面白そうな予感。
この本によると「騙されないプロはいない」
つまりプロだって騙されるのだから素人が投資しても騙されて当たり前。
「投資=儲かる」に踊らされて大事なお金を失ってしまう人のなんて多いことか。
投資の世界はそれこそ魑魅魍魎がウヨウヨしているのだから、
そんな人たちに目をつけられたらアッという間に身ぐるみはがされるのがオチなのだ。
そんなことを言われていても、人間は「自分だけは・・・」と思ってしまう。
また「主婦が投資で○○万円稼いだ!」という本で「自分も」と思ってしまう。
それを踏まえて投資するにはどうしたらいいのか?
まずは「勝つ」「もうける」という意識を捨てる。
そして「負けない」意識に転換させること。
「勝とう」と思っている時点でカモにされる。
負けた投資をどうとらえるか?なのである。
そもそも「勝つ」「もうける」と意識した時点で判断力が鈍る。
投資は全て自分の欲望との戦い。
欲望が全ての判断を鈍らせると言ってもいいくらい。
その欲をどれだけコントロールできるかにかかっている。
「情報が全て」かもしれない。
しかし私たち素人のところにまわってくる情報なんて既に使い古されたものなのだ。
新聞や雑誌に載る頃は既に情報の残骸。
また専門家などの意見はあくまで参考までにとどめておくこと。
彼らも立場上言って良いことと悪いことがある。
その立場上言えないことの中に本当に大事なことが隠されている。
そうなると情報ってなんなんだろうね?
著者は「負けない投資」のために情報に振り回されるのではなく
誰でも平等に見ることができる有価証券報告書を見ることを勧めている。
将来投資をしようと思ったら、思い出そう。
また投資をして利益が出た時は独り占めするのではなく、
一部で良いから社会に還元すること。
成功しているプロは、何かに寄付していたり
将来性のある分野に投資している。
投資の成功と失敗を分けるのは頭脳やテクニックだけではない。
全ては心の問題。
「分けようと思えば余るが独り占めするといくらあっても足りない」
と著者は言う。
この本はいろいろと目から鱗だった。
投資をしている人は一度は読んでほしい本だ。